隣の席のみなみくんは笑わない
みなみくんは微動だにせず、じっと前の先生を見つめる。
くそう!!あたしも先生になりたいっ!!
バンバンと机を平手打ちする。
「田中、うるさいぞ。」
担任の瀬戸理(せと おさむ)がメガネのブリッジをあげながら言う。
それにしても、今日も彼の美貌は相変わらずだな。輝いている。
まなかさんもほかの女子も、この良さをわかってくれない。
『顔はいいけど無表情なのがね……』
ま、でもそのおかげであたしのライバルは少なくて済むってわけ。
こうしてみなみくんの端整な横顔を毎日遠慮なく拝んでる。