隣の席のみなみくんは笑わない
上等だ。僕は誰とも仲良くならないし、仲良くする気もない。
他人に時間を裂くなんて、馬鹿馬鹿しいにも程がある。
そんな時間があるならば、僕は授業の予習復習をしたいものだ。
…………しかし、長年のこの僕のスタイルを邪魔してくる人物が現れた。
「みーなみくんっ!今日もかっこいいね!あたしと結婚して!」
田中はな。17歳。
高校2年生の春からやたらと彼女に迫られる日々。
毎朝毎朝無視されるのがわかっていてもこうして僕に挨拶をする。
…………愛の言葉とともに。
しかし、僕がどんなにスルーをしても、僕がどんなに無表情でも、彼女はめげない。しょげない。諦めない。