隣の席のみなみくんは笑わない
再起不能になった我友(わがとも)華。
そんな彼女を一言で表せば『煩悩』。
こいつは自分の欲に忠実に生きる、歩く108の煩悩なのだ。
……と、どこからか視線を感じる。
ちらりと横目で隣を見ると、クラスメイトである柴田千尋からの視線だった。
男のクセに千尋という可愛らしい名を持つ彼だが、平均的なルックスに平均的な学力。theアベレージの彼。
普段は大人しい彼から、今日は嫌に視線を感じる。
「………………なに。」
どんな声のトーンで話したらいいのか分からなくて、いつもこんな口調になってしまう。
だからなのだろう。
あたしに友達ができないのは。