隣の席のみなみくんは笑わない



『なんで??まなかさん、いっつも悪口言われてるの気づいてるのに、なんでなにも言わないの??』


彼女は、どきりとするくらい澄んだ瞳で、泳いだ私の目を捉えて離さなかった。


私の心の奥まで見透かす様な瞳を前に、思わずたじろいだ。


素っ裸にされて、隅々まで観察されているような気恥ずかしさに、気まずさを通り越してだんだん腹が立ってきた。


これじゃまるで、私が悪いみたいじゃない。



悪口を言われている人間が、なんでこんな事情聴取のように観察されなきゃだめなのよ。



悪いのはあっちよ。言うのならあの馬鹿女共に言ってやりなさいよ。
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