隣の席のみなみくんは笑わない


『だってー!深山さんたちー!みんなあなたたちの陰口聞いて嫌な気持ちになってるのー!まなかさんが文句一つ言わないのをいい事、少しやり過ぎたみたいだね、深山さん』


至って普通に、至って平穏に、田中さんは彼女達に言い放った。



それを聞いた彼女達は、腹を立てることも忘れ、ぽかんと聞いていた。


だって、いつもバカな田中さんが、鋭く彼女達を射抜いていたから。


『もう、陰口なんてダメだよ?』


にっこりと、先程のアホさ加減が嘘のように、一人一人を選別するように。



微笑んだ口元とは裏腹に、田中さんの瞳は強い怒りに満ちていた。


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