隣の席のみなみくんは笑わない



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「まかさーん??まなかさん??」


気づけば、あたしの目の前で手を振っている華。


いつの間にか物思いに更けていたらしい。


心配そうな友の顔は、あたしの瞳をのぞき込んでいた。



この子は、滅茶苦茶で、やりたい放題で、馬鹿そうに見えるけど、人の感情を読んだり察することに長けている。



だからなのか。



あの日、あたしに声をかけてくれたのは、あたしの心の悲鳴を聞いたからなのかな。


もしそうだとしたら、そこに友情なんて存在しなかったのかな、なんて。



あの頃はそんなことばかりを気にしてくよくよしていたあたし。



< 70 / 94 >

この作品をシェア

pagetop