隣の席のみなみくんは笑わない


痛い痛い痛い。


ちょっとね、何処ぞの誰かは知らないけど激しく肩を揺らさないでちょーだい。



あたしの首がマリオネット状態よ。




がっくんがっくん揺られて、脳みそがただの味噌になっちゃう。




怪我はないけど今の貴方の揺さぶりで頭の方が一大事になりそうなのよ。




「あの、ほんとにごめんなさい」




そう言った相手は、女の子みたいに可愛い男の子だった。



少しくせっ毛のクリーム色の髪がふわりと揺れて、思わずどきりとした。



こんな……こんなに可愛い男の子がいるのに女のあたしはなんなんだ一体……。



なーんて感傷に浸ってたら、男の子が私の顔を覗き込んできた。


そりゃあもうお互いの息がかかるんじゃないかってくらいまで近く。



「な……んですか……」



こ、こんなキュートボーイにこんな至近距離でガン見されるなんて惨めになるだけだよぉ…………。


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