シンデレラタイム
「あ、つうかさ、お前部活は?」
「へ!?」
ドーナツにがっつきながら、返事をした。
「汚ねえ。」
「ごめんなさい。」
掃除が終わったらしいおっさんは、コーヒーを自分のマグカップに入れてあたしの目の前に座った。
「部活入んねえの?」
まだ考え中だけどな〜〜。
「入るつもりではいるけど、これって決めてはないかな。」
「そうか。楽しけりゃ何でもいいけどよ。」
部活か…。明日、みんなに聞いてみよう。
「おじさんは高校のとき何部だったの?」
「ソフトボール部。」
「……へえ。」
どうりで上手いわけだ。
ボールの投げ方とか、バッドの振り方とか、昔めちゃくちゃスパルタで教えてもらったもんなあ。
柊大と一緒に、公園で練習したのを覚えてる。
「そのソフトボール部で、仲良い人はいるの?」
「蜂谷(はちや)。」
「え?ブンブン?」
「お前知らなかったの?」
ブンブンこと蜂谷という人は、おじさんの仲良しの人でもう普段からしょっ中我が家に来るおっさんだ。
小さい頃からお世話になってるから、遠慮も何もお互いないし、親戚のおじさんみたいな気楽な関係性でもある。
おじさんが忙しいときに幼稚園のお迎えに来てくれたり、病院に連れて行ってもらったり。
授業参観来てたときもあったなぁ。
おじさんと2人で授業を並んで見てるの。
そして言うまでもなく蜂谷のハチから、センスのないブンブンというあだ名が、あたし達兄弟の中でつけられた。
「ブンブンがおじさんの仲良しなのは知ってたけど、部活同じまでは知らなかったかも。」
「まじか。」
まじだ。
「あ、それで思い出した。明後日の夜にまた来るってよ、蜂谷。」
まじか。