シンデレラタイム
「光里大丈夫?」
「葵〜、ありが…って笑ってるし!」
「おもしろかったよ、あれは。横に飛んだね。」
「そんなに?」
「そんなに。」
がちかい!
なんて醜態を晒してしまったんだ。最悪。
隣で上手くサボる葵を見て、そういえば、と思ったことを話しかける。
「ん?葵って元外だっけ?」
「違うわ、当てられたわ。」
あれ?と記憶を辿ると、確かに葵が当てられたのを思い出した。
「あ、そうだった、瞬殺だったよね。」
「もはや当たりにいってやった。」
開始早々にあんなボール投げるか?普通。ってブーブー言う葵と軽く談笑してると。
「そこぉ!さぼんな!」
安田…。
ごめん、やるよ、ちゃんとやる。
だから怒んないでよ。
安田怒ると、クラスメートの視線集まるんだってば。
さっきよりもみんなの視線が集まってさらにやる気をなくす。
運動は好きなんだけどな~、応援してたいんだもん。
それに葵は本当に運動全般的に得意じゃないからなぁ。
さっきからこっちに来たボールを投げるものの、相手チームに簡単に取られてるし。
ちょっとっていうか限りなく下手。
そんなことを考えていると、目の前にいた相手チームの男子の話し声が聞こえた。
「飯田は運動できないけど、浅水もできないみたいだな。」
「女子心配~。」
「お前、自分の心配しろよ。」
……はあ?
コソコソ話してるけど、全然コソコソなってないよそれ!
ギャハハと聞こえる笑い声にむかっ腹が立つ。
多分半分は八つ当たり。
カチーンときたので、本気出してドッジボールやることにした。