シンデレラタイム
球技大会はドッヂボールだけ男女混合で、あとの種目は男女別で行われるらしい。
だから練習もドッヂだけ男女一緒。
男子も女子もそんな本気でやらないのかな?って思ってた。
そりゃ男子の本気ボールが女子に当たったらシャレにならないもんね。
けどこのクラスは結構みんな本気。だったらあたしも今から本気でやってやろうじゃんか。
とりあえず、運動できないの?とか言ってたあの男子を狙おう。
たまたまボールがきて、拾い上げてから思いっきりあの男目掛けて投げてやった。
バチィン!って鈍い音が聞こえて、ボールが男子に当たって落ちたのを確認。
うーん、まだ感覚戻らないなぁ。
魔球投げたい。
昔おじさんにめちゃくちゃ鍛えられたし!
目の前に座り込む男子と黙りこくるクラスメート。
ボール当てられて放心状態っぽい。
スッキリ。
これであたしはめでたく内野に戻れるし、葵に声かけてから行こうかな。
「葵。内野戻んね~。」
「すげえな、光里。」
「え?」
「なに?あのボール。ハンドボールでもしてたの?」
「あ~。おじさんに教わったの。」
しばらくボール投げてなかったけど。
それから内野に戻って男子の豪速球も関係なしに、飛んできたボールをキャッチしては投げ続けた。
けど、少し張り切りすぎたみたいで。