シンデレラタイム
「…えっと、千花ちゃん?」
「うん、ごめん。」
「お前どうした?涙目だぞ。」
そう真島に言われて、慌てて目を擦った。
泣くもんか。あんな母親のために涙なんか流してやんない。
千花ちゃんもいない。
柊大もいない。
おじさんもいない。
そんな世界を想像すると怖い。
あたしは、千花ちゃんと柊大とおじさんに守られてるから。
困った顔をした2人は、あたしを海の家まで連れていった。
差し出されたサイダー。目の前に座る2人。右から吹き抜ける潮風。海の音。
冷静な声でフジがあたしに話しかける。
「何あったか知んねぇけど落ち着いた?」
「…うん、ありがと。」
完璧迷惑かけた。やらかした。