シンデレラタイム
千花ちゃんとの電話を切り、暇になったあたしは砂浜で爆睡。
赤く焼けた葵に起こされた時には日が傾いていた。さっきまで暑かったのに、今はただ暖かい。
穏やかな空気が流れてるのがわかる。
「あたしも海で寝ちゃっててさ〜。」
「潮で流されなかったの?」
「いや、気づいたら超沖だった。」
「よく帰ってこれたね…。」
「本気で泳いだよ〜。」
「泳げんの!?」
「運動オンチでも水泳はできるわ。」
シートの上に二人で寝転がって、楽しかったと笑う葵と話していた時、チラッと見えた時計。
そういえばやけに人が少ないとは思っていたけど……。
………。嘘でしょ?
「葵!集合時間過ぎてる!」
「うそ!?」
二人して寝まくっていたせいで、時間なんて気にしてなかったけど、集合時間から30分経っていた。
慌てて荷物をまとめてホテルに戻ろうとしたとき。
「光里!」
「なに!?」
走るのが遅い葵があたしを呼ぶ。反射的に後ろを振り向いた。