シンデレラタイム
お迎えのバスが見える。
…もう、今しか時が残っていないから。
だから、こんな最後に、こんなギリギリにだけど。
「あの…。」
「ん?」
「これ、俺たちからの手紙とミサンガです。」
「…え、いつやったのお前ら。」
「帰りの荷台で。」
「…へぇ。」
「ちなみにミサンガは俺たちとお揃いなんで、切っても切れない関係です、俺ら。」
そうフジが言った後に、4人で榎本さんにVサインを向けた。
軽く目を見開いた榎本さんは
「ガキだなぁ、お前ら。」
って言った後に、
「でもそういうところ、好きだったりするよ。」
と呟いた。
別れ際に、榎本さんが元気で、またな!と頭をぐしゃぐしゃやってくるから、余計に名残惜しくて。
さよならじゃなくて、またねって言ってくれてありがとう。
最後に、どうしても!と頼み込んで一緒に撮ってもらった写真と、忘れたくない思い出をもらって、あたし達はホテルに帰った。