シンデレラタイム
帰ってきても家には誰もいなくて、とりあえずすることがない。
通知表はリビングのテーブルに置いておけば気づくだろう。
自室でベッドに寝転んで天井を見つめる。
「寝よ。」
ーーーって思って気づいたら夕方の5時。
目覚め?
最悪。
柊大に枕で顔面をぶっ叩かれて意識が覚醒する。
「起きろ。」
「もうちょっとマシな起こし方あるでしょうが!」
「起こしてやってんだよ、無駄な手間かけさせやがって。」
「妹に対しての扱いじゃないよ、それ。」
「もっと酷くしろと?」
「優しいお兄ちゃんが良かったなぁ。」
「十分だろ。」
「ジェントルマンの欠片もないから。」
「ぐっもーにん、まいしすたぁ~。」
「うっざ。てかなんでそんな機嫌いいの?」
「紗凪来てるから。」
柊大の彼女さんである紗凪(さな)ちゃん。
通称さっちゃん。
柊大とは高1の頃から付き合ってて、もう2年になるのかな?
ゆるふわパーマが似合って、爪の先まで女の子みたいな。ゆるふわとか紗凪ちゃんのためにある言葉だとあたしは思ってる。
高3になってから遊びに来る頻度が減ったけど、前はこの家に入り浸っていた。
一緒にいる時間がすごーく長くて、夏休みとか毎日いたから、もう家族みたい。
この家、4人で家事が当番制なんだけど、それをよく手伝ってくれたり、おじさんのパンツも気にせず洗濯してくれる。
出来た嫁だよね~。