シンデレラタイム


「ひか!」

「さっちゃーん!」


リビングに行って、久しぶりに会ったさっちゃんは相変わらずだった。


昔と変わらず。
そんなさっちゃんが好き。



さっちゃんと話していても、いつものようにオプションで柊大がついてくる。


あー、はい、もう分かったよ。



さっちゃんを柊大に返してキッチンの方に行く。


ダイニングテーブルにブンブン発見。



「ブンブン。」

「光里!デカくなったな!」

「3日前もきたじゃん。」

「うぜぇ!」


缶ビールを2つ空にして尚、プシュッといい音を立てるブンブン。



「そういえば、光里。これ。」



そう言ってブンブンがヒラヒラ手に持っているのはあたしの通知表。物理2。


「物理2かよお前!バカ!」

「見ないでよ!」

「ぜひぜひぜひ見てくださいって感じで机に置いてあったぞ。」



何時間か前の自分に喝を入れたい。
どうぞ見て笑ってやってください。



おじさんがダイニングに戻ってきて、ブンブンとあたしにはわからない昔話を始めたから、その輪に入るのはやめた。




ダイニングにはおっさん2人。


リビングにはカップル。




となればキッチンで千花ちゃんの手伝いでもしようかね。




「千花ちゃん?手伝う。」

「あ、じゃあね、これ運んで。」



めっちゃいい匂い。


トマトソースのパスタが美味しそう。


バジルのせてくれるのは千花ちゃんだけ。



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