麗雪神話~青銀の王国~
3
女王による挨拶のあと、楽団たちが自慢の腕をかけて演奏をはじめ、人々はそれに合わせて踊ったり、立食形式の食事を楽しんだりと、思い思いに過ごしていた。
セレイアは壁際でうつむき、完全に壁の花と化していた。
何度も何度もいろんな紳士から踊りに誘われたが、すべて上の空でことわっていた。
(どうして言えないのかな)
ただ一言、ごめんなさいと、言えればいいのに。
「セレイア、ほら、食事を持って来たぞ」
セレスが、両手いっぱいに料理の乗った皿をのせて、やってくる。
「これは、確かセレイアも好きなものだったんじゃないかと思って。酒類は苦手か? この果実酒は度数も低いし、豊潤でおいしい。おすすめだぞ」
「セレス…」
出会いが出会いだったものだから、彼に対していつも穿った見方をしてしまいがちだが、今日のセレイアは心底弱っていたからかもしれない、彼の優しさを受け取ることができた。
セレスはセレイアを元気づけたい一心で、こうして料理を持ってきてくれたのだ。
「このムニエルはシェフが何日もかけて―――」
セレスはまだしゃべっている。
一生懸命なその様子がおかしくて、セレイアは思わずふふ、と笑みをこぼした。
セレスが固まる。
セレイアはくすくすと、笑いながら言った。
「ありがとう」
「…………」
セレイアは壁際でうつむき、完全に壁の花と化していた。
何度も何度もいろんな紳士から踊りに誘われたが、すべて上の空でことわっていた。
(どうして言えないのかな)
ただ一言、ごめんなさいと、言えればいいのに。
「セレイア、ほら、食事を持って来たぞ」
セレスが、両手いっぱいに料理の乗った皿をのせて、やってくる。
「これは、確かセレイアも好きなものだったんじゃないかと思って。酒類は苦手か? この果実酒は度数も低いし、豊潤でおいしい。おすすめだぞ」
「セレス…」
出会いが出会いだったものだから、彼に対していつも穿った見方をしてしまいがちだが、今日のセレイアは心底弱っていたからかもしれない、彼の優しさを受け取ることができた。
セレスはセレイアを元気づけたい一心で、こうして料理を持ってきてくれたのだ。
「このムニエルはシェフが何日もかけて―――」
セレスはまだしゃべっている。
一生懸命なその様子がおかしくて、セレイアは思わずふふ、と笑みをこぼした。
セレスが固まる。
セレイアはくすくすと、笑いながら言った。
「ありがとう」
「…………」