麗雪神話~青銀の王国~
セレスは少し表情を険しくした。
「少なくともわが国では、あいさつで口づけなどしないよ。だがなぜそんなことを聞く? まさか誰かに―――」
「違います。ただちょっと、聞いてみたかっただけよ、気にしないで」
慌てて否定したところが、うさんくさかったのかも知れない。
セレスはさらに表情を険しくすると、不意に距離を詰め、セレイアの額に口づけを落とした。
「…ひゃあ!!」
驚いて変な声が出た。かっと頬に熱がのぼる。
「な、何するのよ!」
「これは挨拶なんかじゃない。
好きだからしたキスだ。それを、忘れないでくれ」
「せ、セレス……」
「最終試練も近い。滋養のあるものを食べて、体を大事にするように。そしてまた元気な姿を見せてくれ。それでは、私はもう行こう」
セレスはそう言って、風のように去っていった。
面と向かって好きだなんて言われても、とまどってしまう。
そんなことを言われても、誰かと思いが通じ合うことなど、ありえないのに。
自分がまた誰かを好きになることが、ありえないから。
口づけされた額をおさえて、セレイアはしばらくその場に立ち尽くしていた。
「少なくともわが国では、あいさつで口づけなどしないよ。だがなぜそんなことを聞く? まさか誰かに―――」
「違います。ただちょっと、聞いてみたかっただけよ、気にしないで」
慌てて否定したところが、うさんくさかったのかも知れない。
セレスはさらに表情を険しくすると、不意に距離を詰め、セレイアの額に口づけを落とした。
「…ひゃあ!!」
驚いて変な声が出た。かっと頬に熱がのぼる。
「な、何するのよ!」
「これは挨拶なんかじゃない。
好きだからしたキスだ。それを、忘れないでくれ」
「せ、セレス……」
「最終試練も近い。滋養のあるものを食べて、体を大事にするように。そしてまた元気な姿を見せてくれ。それでは、私はもう行こう」
セレスはそう言って、風のように去っていった。
面と向かって好きだなんて言われても、とまどってしまう。
そんなことを言われても、誰かと思いが通じ合うことなど、ありえないのに。
自分がまた誰かを好きになることが、ありえないから。
口づけされた額をおさえて、セレイアはしばらくその場に立ち尽くしていた。