麗雪神話~青銀の王国~
セレイアはディセルの横で、彼と同じようにごろんと横になった。

しばし、二人して無言で空を見上げる。

穏やかな時間が流れていた。

その空気を壊さぬ優しい声音で、不意にセレイアが訊ねてきた。

「ねえ、ディセルには、何か夢があるの?」

「……夢?」

「そうよ。ええとね、こうなってほしいとか、こうなりたいとか、強く思う気持ちや、願いのこと。何か、ある?」

そう言われてすぐに思い浮かんだビジョンを、言葉にしていいものか、ディセルは迷った。

迷ったが…こうも優しい風にそっと後押しされては、言葉にせずにはいられなかった。

「…あるよ。
トリステアでいつか行った農場にいた、たくさんの家畜。
ああいう家畜をちょっと飼って、世話をしながら、家族みんなで静かに暮らせたら…って思う」

話しながら、わくわくしてきた。

心の中に広大な牧草地が広がる。

そこでは隣で、もちろんセレイアが笑っている。

「好きな…人に、子供を産んでもらうんだ。
金髪の子になるかな、銀髪の子になるかな―――」

「え、金髪? なぜ?」

「え、あ、いや、たとえば、例えばの話。ね」

危うく墓穴を掘るところだったと、ディセルは赤面しながら言いつくろった。

幸い、セレイアは気にしなかったようだ。
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