麗雪神話~青銀の王国~
2
綱から解き放たれても、青幻獣はしばらくその場から動かなかった。
ただじっと、その理知的な輝きを宿す瞳で、三人の候補者たちをみつめている。
いや、“見定めて”いる。
間違いなく。
青幻獣とはいったい何者なのだろうと、セレイアは思う。
聖なる存在。神々とも、関わりのある存在なのだろうか。
そんなことを考えていると、レティシアが、一歩前に出た。
「青幻獣よ。わたくしを選んでください。
必ずや、よき女王として人々を導いて見せます」
堂々とそう告げるレティシアを、青幻獣はじっとみつめる。
けれど、動こうとはしない。
観客たちも固唾を呑んで見守っている。
流れる沈黙に、人々が焦れてきた頃だった。
最初に異変に気付いたのは、セレイアとディセル、そしてトリステアからの客人たちだったと思う。
どこからか流れて来て、目の前に停滞しはじめた、黒い霧。
それはあっというまに広場を包み、人々の視界を淀ませ始めた。
人々がざわつく。「なんだなんだ」と言い交し、手元で霧を払おうとするも、かなわない。
「大変! “霧”だわ!」
ただじっと、その理知的な輝きを宿す瞳で、三人の候補者たちをみつめている。
いや、“見定めて”いる。
間違いなく。
青幻獣とはいったい何者なのだろうと、セレイアは思う。
聖なる存在。神々とも、関わりのある存在なのだろうか。
そんなことを考えていると、レティシアが、一歩前に出た。
「青幻獣よ。わたくしを選んでください。
必ずや、よき女王として人々を導いて見せます」
堂々とそう告げるレティシアを、青幻獣はじっとみつめる。
けれど、動こうとはしない。
観客たちも固唾を呑んで見守っている。
流れる沈黙に、人々が焦れてきた頃だった。
最初に異変に気付いたのは、セレイアとディセル、そしてトリステアからの客人たちだったと思う。
どこからか流れて来て、目の前に停滞しはじめた、黒い霧。
それはあっというまに広場を包み、人々の視界を淀ませ始めた。
人々がざわつく。「なんだなんだ」と言い交し、手元で霧を払おうとするも、かなわない。
「大変! “霧”だわ!」