麗雪神話~青銀の王国~
残念ながら、移動中に騎士たちの隙をついて逃げ出すことはできなかったようだ。

―大丈夫。道は必ず開ける。

セレイアが自分に言い聞かせて顔をあげると、目の前には大きな広間の入り口があった。

見事な流線を描く精緻な彫刻に彩られた純白の柱と柱の間、それが入り口だ。

入り口だけでもこれだけの規模のものは滅多にお目にかかれるものではないと思ったが、中は想像以上だった。

目を射抜く純白と純銀。豪華絢爛な青を基調とした絨毯。円天井は高く、プミールが何頭も余裕ですれちがえそうなほどだ。

トリステアの王宮でこの規模に見慣れていなければ、口をぽかんと開けてしまったかも知れない。

そこに、護衛の騎士たちをのぞくと十数名の人間が集められているようだった。

皆衣服もまちまちの、きれいな少女たちだ。

それを見た瞬間、即座に思ったことといえば。

(人さらいのやつ…やっぱりそういういやらしい目的があったのね!! 信じられない!! 若い女の子ばっかり集めちゃって…!)

セレイアは大いに憤慨した。

いざという時は、彼女たちを自分の武で守らなければとも心に誓った。
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