麗雪神話~青銀の王国~
きっといてもたってもいられないのだろう。

それでも今は、生身の人間と変わらぬ体を持つ身だ。休まなければ倒れる。

それをディセルもわかってくれたのだろう、小さく「…わかった。捜索を頼む」と呟き、
ベッドに倒れ込んだ。

捜索のため部屋をあとにしながら、サラマスは考えていた。

(さて…お嬢ちゃんはどこに行っちまったのかな。
スノーティアスにはああ言ったが、これは相当きな臭いぜ。
何者かにさらわれたっていう線が濃い。
お嬢ちゃん、無事でいてくれるといいんだが……)

安全な国と気を緩めすぎたのが原因だと、サラマスも反省している。

サラマスの目的から考えれば、ディセルと二人旅でも構わないはずなのだが、サラマスもここまで旅をしてきてセレイアと言う少女に少なからず好感を抱いていた。彼女が姿を消したというのに、そ知らぬふりで旅を続ける気にはなれない。ディセルだって、きっと断固としてそれを許しはしないだろうし。

(あてはねえが、捜すしかないな)

ディセルが心配のしすぎで衰弱して倒れる前に、なんとか見つけ出したいと、サラマスは宿を出ながら思ったのだった。
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