麗雪神話~青銀の王国~
「別に選ばれたっていうか、ただ昔からプミールがなついてくる体質なだけなのになぁ…」

セレイアがぼやくと、シルフェがすかさず反論する。

「でも、集められたラピストリ候補の娘たちの中で、青幻獣に乗ることができたのはセレイア、あなただけなのよ。私も含めてほかの娘たちは、ただ触れることができただけ。それだけでもすごいことなの。青幻獣は決して、只人になついたりしないのよ」

「そんなこと言われてもなぁ…」

セレイアにはすでにトリステアの姫巫女という大切な仕事がある。

それにディセルを天上界に返す旅の途中だ。

「シルフェがなればいいじゃない、女王に」

投げ槍にそう告げると、シルフェは少し困った顔をした。

「そういうわけにはいかないわ。私だって、旅の途中なんだもの。私ね、捜している人がいるの…」

急にうっとりと熱を帯びた瞳に、セレイアは面食らった。

「えっと…その人って、シルフェの…恋人とか?」

鈍いセレイアにもわかるほど、シルフェの様子はわかりやすい。

「恋人だなんて! いやだわ。そりゃいつかはそうなりたいって思っているけど。その人はね、私の…大好きな人。大好きな大好きな人よ」

にっこり笑って告げられると、少し羨ましくなってしまう。

この時浮かんだのは、なぜかディセルの顔だった。
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