麗雪神話~青銀の王国~
一週間も会えないでいるなんて、出会ってこのかたなかったことだ。ディセルの顔を見たい、声が聞きたいと、渇望にも似た気持ちがわきおこってくるのを、セレイアにはどうすることもできなかった。

不意に広間にいかつい顔の武官が現れたので、二人のおしゃべりはそこまでだった。武官は皆の注意をうながすと、書状のようなものを開いて厳かな様子で言った。

「第一の試練の吉日は明日と決まった。
ラピストリ候補たちにはそれに向け、女王陛下との謁見を許す」

(女王陛下に…謁見?)

これはまたとないチャンスだ、とセレイアは思った。

女王陛下に、じきじきにお願いしてみよう。誠心誠意お願いしたら、ひょっとして自分一人くらい返してくれるかもしれない。

それに、旅の目的である、天上界へディセルを返す方法について、女王なら何か知っているかも知れない。

セレイアたちラピストリ候補たちは皆湯殿へ連れて行かれ、体を徹底的に清めてから、謁見へ臨むこととなった。
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