麗雪神話~青銀の王国~
すぐさまセレイアは眼光鋭くサラマスを振り返った。

「間抜け面とか言わないの!
辛い物食べてる時のサラマスの方がよっぽど間抜け面よ~だ」

「なんだとお嬢ちゃん! やんのか!!」

むっとしたサラマスが攻撃的な声をあげる。

「ええええ、受けて立とうじゃないの。プミールの名誉のためなら戦うわよ」

「まあまあ、二人とも、落ち着いて」

油断するとすぐにこの二人は喧嘩をはじめてしまう、とでも思っているのか、ディセルは少々呆れ顔だ。

がうがうと言い合う二人に、発着場の係員が笑顔で近づいてきた。

「サティエイトへようこそ!
今から皆さんは、“高地順応島”と呼ばれる浮島に向かいます。その名の通り、比較的低い位置にある浮島であることから、しばし滞在すれば本島へ行くための体をつくることができる島です。サティエイトの本島へは、約一週間後に行くことができるようになりますからね。さあ、準備はいいですか? おひとりずつ、青プミールにお乗りください。荷物はこちらへ」

係員の手際はすばらしく、対応もにこやかで丁寧だ。

獣舎の係員と言い、この係員といい、なんだか国民性がうかがえる気がする。
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