麗雪神話~青銀の王国~
最終試練にのぞむ三名のラピストリ候補の乙女たちは、本島と高地順応島にて、お披露目を兼ねた記念パレードを行うことが決定づけられていた。

華やかな輿に乗って街を練り歩き、人々から喝さいを浴びるのだという。

最終選考にまで残ることは、この国では非常に名誉なことで、それだけで一生職に困らないほどだという。

そんなことはセレイアにとってどうでもいいことだった。

だが、お披露目パレードはチャンスだと思っていた。

ディセル達にセレイアの所在を知らせるチャンス。パレードを見てセレイアをみつけてくれれば、きっと助け出すために動いてくれるはず。

そう思ってパレード当日を迎えたが、……

(…甘かったわ)

まだ夜も明けきらぬ早朝にたたき起こされ、何時間にも渡って徹底的に、セレイアは着飾らされた。それこそ誰が誰だかわからぬほどに、髪を複雑に結い上げられ、濃い化粧が施され、美しいドレスや装飾品をじゃらじゃらとつけられる。

完成して鏡の前に立った時、誰この人と自分でも思うくらいだった。

(こんな恰好じゃ、ディセルに気づいてもらえない)

それでも一縷の望みを託して、セレイアはパレードにのぞんだ。
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