麗雪神話~青銀の王国~
あっというまに本島でのパレードが終わり、高地順応島に、パレード隊が到着する。

高地順応島も、人であふれかえっていた。

こんなに大勢の人々の中から、自分はたった一人のディセルをみつけられるだろうか。

その時、耳の奥に蘇る声があった。


『どこにいたって、どんな姿をしていたって、俺は君を見つけると思う。
君は俺の…“希望”だから』


二人で、青銀騎士団を眺めたあの日。

ディセルはそう、言ってくれた。

ほんの少し前のことなのに、まるで何年も前の記憶のように感じて、切なくなった。

(ディセル)

人混みの中、セレイアはたった一人の面影を探す。

(みつけてよディセル)

―見つけてくれるって、言ったじゃない。

その願いの儚さに、ぽろりと一粒、涙が頬を滑り落ちた時――――



沿道の中に、その人をみつけた。
みつけたのだ。



銀色の髪の、美しい、美しい人が、驚愕の表情でセレイアをみつめていた。

彼の唇は、間違いなくこう動いた。

“セレイア”と――。



(ディセル…ディセル…!!)

気付いてくれた。

見つけてくれた。

セレイアは激しい感情の波に、泣きじゃくった。

シルフェやレティシアに心配されても、聖職者たちに驚かれても、涙は止まらなかった。
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