麗雪神話~青銀の王国~
そこへ、人の輪を抜けて騎士とおぼしき男性が近づいてきた。

そしてサラマスへと何やら真剣な顔で話しかける。

もしやと、ディセルは少し緊張する。

サラマスが破顔した。

やはり…!?

サラマスは男性と握手すると、ディセルのもとまで駆け戻ってきて言った。

「やったぜディセル! クイーンズパレスで、明日、この芸を披露してもらえないか、だって」

「よし!!」

ディセルは思わずガッツポーズをとっていた。

それもそのはず、この展開のために、二人は芸を始めたのだから。

ようやっと見つけたセレイアは、間違いなく、次期女王候補としてパレードに参加していた。どういう経緯があったのかはわからないが、おそらく望まずして、そういうことになってしまったのだろう。高地順応島のどこを探してもいないわけだ。彼女は本島の、クイーンズパレスにいたのだから。

なんとしても彼女を救い出したい。

そう思ったディセルとサラマスの二人は、クイーンズパレスに近づく手段として、芸で名をあげることを考え付いたのだった。

(待っていて、セレイア。
必ず俺が、助け出すから)

堅い決意を胸に、ディセルは空に浮かぶ本島を振り仰いだ。
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