麗雪神話~青銀の王国~
セレイアの居場所を突き止めるにしても、まずは彼女と接触できなければ始まらない。

大広間には、すでに立派な席に座す女王と、ずらりと並ぶ護衛や重鎮たちの姿があった。

その中に…当然ながらセレイアの姿は、ない。

ディセルとサラマスは女王に芸を披露できる喜びの口上を述べ、街で見せたのと同じような芸を、ちょっぴり派手にしたものを懸命に演じた。

気に入ってもらえなければ、だめなのだ。

女王は二人の芸が終わると、自ら最初の拍手を送ってくれた。

「見事だ、実に見事!
ぜひともわが娘レティシアや、ラピストリ候補の娘たちにも見せてやりたいものだ」

女王自らそう言ってくれて、あまりに思い通りの展開に、ディセルは心の中でガッツポーズをとる。

「ぜひ、そうさせていただきたいです」

「では、明日、娘たちを集めるので、また来てくださるか」

「かしこまりました」

ついている、と思った。
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