愛ニ狂ッタ人







だけどきっと。

僕の愛は、きっと雪愛を恐怖へ陥れるだろう。

…そう、確信している自分もいた。





僕の母親が、僕の父親を愛しすぎているように。

僕自身も、過度な愛を、雪愛へ注いでしまうかもしれない。





雪愛は今まで、誰にも愛されたことがなかった。

僕が初めて、雪愛に無償の愛を注いだ人のようだ。

雪愛の初めての相手になれて、僕は凄く嬉しいけど。





僕は、誰も愛したことがない。

両親のお蔭で、愛されたことはあるけど。





そこまで考え、ふと悩む。

果たして今まで僕が“愛されている”と実感している全ては、本当に“愛”なのだろうか?





もしかしたら。

僕も雪愛と同じく、誰にも“愛されなかった”のではないだろうか?

“必要とされた”ことなら、沢山ある。

だって僕は、学校の実質的持ち主だし、いずれこの家を継ぐ役目もある。

僕は生まれながらにして、“必要な存在”ではあっただろう。





だけど。

果たしてソレは、“愛”と呼べるのだろうか?








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