愛ニ狂ッタ人
愛されたことのない私だから。
愛し方を、知らない。
だから、私は私の本能のまま、彼を愛する。
例えそれが、間違ったやり方だとしても。
もう私は、間違った道へ進んでしまっている。
私は昨日―――もう深夜零時を過ぎている―――、滝田愛佳を殺した。
殺人は、立派な犯罪だ。
法を犯した私は、すでに間違った道へ進んでしまっている。
彼の邪魔・障害になる者は、誰であっても排除する。
それが私なりの、彼への愛のカタチ。
間違ったやり方なのは、重々承知している。
だけど、私はもう、戻れない。
これからも、彼を私なりの愛し方で、愛して行く。
彼を独りになんて、させないために―――。
暫く無言で、ベッドの上で抱き合っていると。
トン、トン…と階段を上るような、木の音が聞こえてきた。
彼は我に返ったように、私を離すと、布団の中に潜り込むよう指示した。
私は何が何だかわからなかったけど、彼が何故か焦っているように見えたから。
言う通りに、布団へ潜った。
そこで、初めて気がついた。
ここが、初めて訪問した、彼の自宅だと。
そしてこのベッドが、普段彼を夢の中へと誘う、ベッドだと。
途端に恥ずかしくなって、彼に見えていないのに、私は両手で自分の顔を覆った。