愛ニ狂ッタ人
それが彼を、
“孤独”と言う闇へ、堕としている?
「…雪愛ちゃん」
ゆっくり、布団をはがす彼。
その顔は、穏やかに微笑んでいた。
「ごめんね、突然。暑かった?」
「大丈夫だよ」
「そう…」
彼はにこりと微笑み、私を優しく抱いた。
私も、彼の背中へ、腕を回した。
「…ねぇ」
「どうしたの?」
「…キミは、何を抱えているの?」
「………」
「私は、キミの役に立てないかな…」
「…雪愛ちゃん……」
私は、彼を抱きしめる力を、強くした。
「……私もね、独りだったの…」
そうして私は、語りだした。
ずっと誰にも言えなかった、私の家庭事情。
だけど、彼には、彼だけには、言いたいと思った。