愛ニ狂ッタ人








私の両親は、私を愛さなかった。

私はずっと、独りだった。




そもそも、愛されるわけがなかった。

幼い頃は何でと疑問だったけど、理由を知ってしまえば、愛してなど思わなくなった。

両親が私を、愛する義務などないのだから。





私の本当の両親は、行方不明だ。

生まれたばかりの私を、今の両親の元へ無断で置き去りにした。

私の今の両親は、私にとっては親戚に当たる存在らしい。





突然生まれたばかりの赤ん坊を家の前に置き去りにされ、両親はとても迷ったそうだ。

そもそも両親が、愛し合っていなかったから。

両親の両親―――私にとって祖父母に当たる存在だ―――が、いくつになっても結婚しない両親を見て、勝手にお見合いさせて、無理矢理結婚させられたのだ。

愛のないまま結婚した両親の間に、愛はない。

そして親戚とは言え、勝手に置き去りにされた私を、愛せるはずがなかった。





両親は仕事を口実に、私が物心ついた頃にはすでに忙しくしていた。

早いうちに知っておいた方が良い、と言う両親の考えで、その頃には既に両親の実の子どもではないと知っていた私は、寂しくなかった。

むしろ、何度も家を出ることを考えた。

私という存在が、両親をますます愛のない関係にしていると、知っていたから。





私の本当の両親が、何故私を置き去りにしたのか、その理由は不明だ。

そもそも、両親が生きているのかさえもわからない。




置き去りにされるぐらいなら、死んだ方がマシだった。

実の親に無償の愛を注がれるクラスメイト達を見ると、何度も殺したい衝動に駆られ、抑えるのが大変だった。

しかも私の事情を知らず、

「親なんていなければ良いのに」

とアッサリ言うクラスメイトが、憎くて仕方なかった。




私にも両親と言う存在はいる。

だけど、果たしてそれは両親と言えるのだろうか?

私と両親の関係は、親子と、家族と言えるのだろうか…?








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