愛ニ狂ッタ人
両親に、迷惑はかけられなかった。
だからむしろ、捨てられないよう、勉強は必死に取り組んだし、我が儘も言わなかった。
両親に愛されなくても良い。
捨てないでいてくれれば。
もし、
『アンタなんてイラナイ』
なんて言われてしまったら。
時折私を襲う、言いようのない苦しみと哀しみに、私はずっと耐えてきた。
キミに、
会うまでは―――。
「キミが、キミだけが、私を、捨てないで、愛してくれたの。
大好きなの、キミが、キミだけが。
…私を、イラナイと言わないで…?」
自然と涙が滝のように溢れてきて、私は彼の着ている服を濡らした。
だけど彼は文句を言わず、ただ優しく、私を抱きしめてくれた。
「…言わないよ、雪愛。
大好きだよ…雪愛…愛シテイルヨ」
あたしたちはそこで、初めてキスを交わした。