愛ニ狂ッタ人
第9章 彼氏side
☆☆☆
「…ふふふっ」
「どうしたんだ?」
突然笑いだした雪愛を見て、僕は首を傾げた。
「思い出したの。
私が、滝田愛佳を殺した日のことを」
「ああ…、懐かしいね」
滝田愛佳。
僕の殺した、園田愛恵の姉。
雪愛が僕のために殺した、罪人。
僕は、その日と同じく、雪愛と僕のベッドに並んで横たわっていた。
シングルのベッドに、2人が寝転ぶと、狭く感じるかもしれないけど。
むしろ僕は、その狭さが嬉しい。
雪愛の体温を、全身で感じることが出来るから。
「うふふ…キミのこと、大好きィ」
雪愛は、ずっと絡んでいる僕の手を、ギュッと強く握った。
そして、可愛い瞳を閉じ、穏やかな寝息を立て始めた。