愛ニ狂ッタ人
だけど彼は、震えた私を見て、にこりと微笑んだ。
先ほどの、机を綺麗にした彼のような笑顔で。
「雪愛」
「…は、はい……」
「僕に嫌われるとでも思ったの?」
「…ごめんなさいっ。
でも私…キミが好きだから…」
「アハハハハハハハハッ」
彼は突然笑いだした。
思わず俯いていた顔を上げると、彼は笑っていた。
目尻を下げ、口元を上げ、頬を緩めた、笑顔で。
「馬鹿だなぁ」
「……ッ」
「僕が嫌うとでも思ったの?
雪愛は本当に…馬鹿な子ダネ」
突然彼はキスをしてきた。
今までよりも甘い、噛みつくようなキス。
だけど、不思議と乱暴だとは思えなかった。
彼に全身で、愛していると言われているようで。
「僕が雪愛を嫌う日なんて絶対に来ないよ。
これからも続けてよ、その趣味。
僕と雪愛の間に、隠し事はなしなんだから」