愛ニ狂ッタ人
第10章 彼女side
☆☆☆
どれくらい、時間がたったのだろうか?
私は、重たい瞼を、ゆっくり開いた。
そして、言葉に出来ない、恐怖が襲って来た。
いない。
いない。
隣に彼が、いない。
どこに行ったの。
どこへ消えたの。
私はベッドから立ち上がり、辺りを見渡す。
いない。
イナイ。
彼ガ、イナイ。
私は夢遊病患者のように、ふらふらと部屋を出て行った。
いなくならないで。
いなくならないで。
私を、独りにしないで。