愛ニ狂ッタ人








「…僕はね、
お父様に、夜中起こされるんだ」

「お父さんに…?」

「うん。
お母様はね、僕と自分以外、会わせたくないの。
お父様は、お母様のモノだから」

「……」

「僕の家、異常なんだ」

「……」

「だから、僕も異常なんだ」

「……」

「でも僕にとっては異常じゃないから。
僕にとってこの家は、正常なんだ」

「……」

「最初は、雪愛を愛して良いか、不安だった」

「……」

「怖かったんだ、僕。
情けないよね…」

「……」

「僕は、異常だから。
いずれお母様のように、お父様を愛するんだって思った」

「……」

「だけど僕は、雪愛を大事にしたかった。
愛したかったんだ……」

「……」

「壊れていてごめんね。
狂っていてごめんね。
不良品でごめんね。
…だけど雪愛、僕は雪愛を愛シタイ。
僕の中に、いつまでも、封印していたい」

「……」

「雪愛。
僕の愛…受け止めて、くれる?」







自然と僕の目からも、涙がこぼれていた。










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