愛ニ狂ッタ人
第12章 彼女side
☆☆☆
私は初めて、彼の闇を知った。
彼の幼い時から抱えていた、家庭事情も。
彼は、お母さんがお父さんへ注ぐ愛を、究極だと言っていた。
私も、そう思う。
あの美人なお母さんを、私は尊敬してしまう。
尊敬するのは、お母さんの愛だけだけど。
私たちは、一層仲良くなった。
私たちだけの空間を、作った。
誰も入れない、私たちだけの空間を。
常に人に囲まれていた彼だけど。
私に全てを話してくれた日からは、私とだけ話すようになった。
積極的に話しかけようとする女子どもを散らし、私だけに愛を注ぐようになった。
彼の溢れんばかりの私への愛が、私の幸せのメーターを増やしてくれた。
いつしか教室では、私たちだけの空間が出来上がった。
誰も、私や彼に話しかけなくなった。
用事がある時は話しかけてくるけど、すぐに彼が追い払ってくれた。
彼に話しかける女には、私も我慢出来なくて、脅したりもした。
当たり前デショ?
もし、危害を加えるなら。
…悔いなく、殺してあげるカラ。