愛ニ狂ッタ人








何事もなく、

私たちに関わる人たちも減り、

毎日楽しく過ごしていたけど。





最近、

私には彼に言えない悩み事が出来ていた。






「ユキちゃん」

「…またですか……」





私の家の前で、毎朝待ち伏せしている男が、出てきたのだ。

隣のクラスで、名前は確か―――。





「誰、でしたっけ?」

「酷いなぁユキちゃんは。
俺は、稲生(いのう)だよ」





…どうでも良いけど。

本当に、いなくなってほしい。





彼に言おうか、何度も迷った。

だけど、これ以上彼の手を血で染めたくない。










< 143 / 234 >

この作品をシェア

pagetop