愛ニ狂ッタ人
第13章 彼氏side
その日も僕は、いつもと同じように、教室に朝1番に着いて、教室の扉を開けた。
誰もいない、静かな空間。
以前、僕が大好きだった場所、空気。
だけど今は、物足りなく感じる。
誰もいない空間に、彼女と2人、いられたら。
僕は凄く、幸せなんだよなぁ。
2番目に来るのは、彼女・雪愛。
僕は自分の席に座って、短編小説を読みながら、雪愛を待つ。
目は小説の内容を追っているけど、頭の中は雪愛でいっぱい。
早く、来ないかなぁ。
「おはよっ…って、アレ?」
勢いよく扉を開けて入ってきたのは、クラスメイトの男子。
僕は雪愛だと思っていたから、一気に気分が下がった。
男子は僕しかいないことを確認すると、鞄を置いてやってきた。
「王子。
これ休んでいた間のプリント」
「…ありがとう」
受け取りながら、気が付く。
この男子が、このクラスの学級委員だということを。
まぁ僕には関係のないことだから、すっかり忘れていたんだけど。