愛ニ狂ッタ人







「大丈夫だった?雪愛」

「ッ……!」

「よしよし」




彼は笑みを浮かべながら、私を抱きしめ、頭を撫でてくれた。

久しぶりに、大好きなぬくもりに包まれ、私は泣いた。






「……あのねっ!」

「うん?」

「大好きだよッ……!」




顔を上げて、涙で滲む視界で彼を見ると。

彼は、私の大好きな笑顔で、微笑んだ。





「僕も大好きだよ。
1人にして、ごめんね。
無事で、良かった……!」





私は再び顔を埋め、ひたすら泣いた。

まるで小さな子どもが、迷子になって、母親と再会した様に、泣きじゃくった。




私は、お母さんと出掛けた思い出なんてないから。

迷子になったことも、ない。




彼と出会って、

沢山色々なことを、経験した。






やっぱり彼は、

私の大事な、

運命の、王子様なんだ―――。









< 177 / 234 >

この作品をシェア

pagetop