愛ニ狂ッタ人
「大丈夫だった?雪愛」
「ッ……!」
「よしよし」
彼は笑みを浮かべながら、私を抱きしめ、頭を撫でてくれた。
久しぶりに、大好きなぬくもりに包まれ、私は泣いた。
「……あのねっ!」
「うん?」
「大好きだよッ……!」
顔を上げて、涙で滲む視界で彼を見ると。
彼は、私の大好きな笑顔で、微笑んだ。
「僕も大好きだよ。
1人にして、ごめんね。
無事で、良かった……!」
私は再び顔を埋め、ひたすら泣いた。
まるで小さな子どもが、迷子になって、母親と再会した様に、泣きじゃくった。
私は、お母さんと出掛けた思い出なんてないから。
迷子になったことも、ない。
彼と出会って、
沢山色々なことを、経験した。
やっぱり彼は、
私の大事な、
運命の、王子様なんだ―――。