愛ニ狂ッタ人
教室へ1番乗りに来た僕がすること。
そんなの、決まっている。
彼女の机を綺麗にすること。
“99%除菌”と書かれているウェットティッシュを取り出し、念入りに拭いた。
役に立つかなんて、実験なんてしたことないからわからない。
だけど、信じてみたいんだ。
否、信じてみたくなんてない。
僕が信じたいのも愛したいのも、彼女だけ。
信じられないウェットティッシュで、僕は念入りに彼女の机を拭く。
昨日この教室は、委員会とかくだらないので使われた。
前の方にある彼女の席に座った奴が、いるかもしれない。
本当は誰が座ったのか確かめて、直接対決と行きたいところだけど。
彼女の泣く姿は見たくないから、我慢する。
僕の彼女は、誰よりも優しいから。
自分のせいで、誰かが傷つくのが許せないんだ。
「おはよっ!」
僕しかいない教室へ響いた美しき声。
僕は思い切り顔を上げ、彼女を視界へいれた。
彼女しか、視界にいれたくない。
壁も床も掲示物も、剥がしてしまいたい衝動に駆られた。