愛ニ狂ッタ人
彼女は中身を確認し、首を振った。
「大丈夫です」
「そう、良かった。
そういえば、雪愛ちゃんって言うんだね」
「…何で名前を……」
「入学式の時、言ってたでしょ?
よろしくね、雪愛ちゃん」
僕は最後に自分史上最も良い笑顔を見せて、彼女の机を離れた。
本当は離れたくなかった。
担任が来ても、ホームルームが始まっても、休み時間が始まっても。
僕は雪愛の傍にいたかった。
もっと彼女の傍にいたかった。
だけど、遠くから感じたんだ。
雪愛と話す僕をジッとストーカーのように見つめる、学年を問わない女子たちの視線に。
このまま雪愛といたいけど。
漫画やドラマのように、雪愛に被害がいったら困るから。
でも、大丈夫。
もうすぐで、雪愛は僕のモノになる。
雪愛に被害が及ばないようにもしてあげるから。
愛しているよ、雪愛。
僕がキミのこと、
守ってあげるカラ―――…。