愛ニ狂ッタ人
最終章 彼氏side
☆☆☆
「続いてのゲストは、今めざましい発展を遂げている名家・若王子家の若き社長、若王子貴魅さんです」
目の前の幕が開き、僕は会釈をしながら階段を下りる。
「若王子さん、初めまして。
佐倉(さくら)と申します。
いやぁ…若き社長とは聞いておりましたが、本当に若いですね。
失礼ですが、おいくつですか?」
頭が少々寂しくなっているオジサンに、僕は笑みを返す。
確かこのオジサン、どこかの大学の経営学部の教授さんなんだよな。
「初めまして、若王子です。
僕は昨日、二十歳の誕生日を迎えました」
「二十歳ですか!?
いやぁ…もうワタシとは親子じゃないですか」
アハハと笑う佐倉さんだったが、すぐに本題に入る。
「ところで若王子さん。
ワタシちょっと聞きたかったんだけどね?」
「何でしょうか?」
「若王子家というのは、かなりの名家でしょう?
いくつもの会社をサポートしているだけでも大変なはずなのに、学校や介護施設などの福祉にも積極的で。
その上そんなにお若いんですから、大変じゃないですか?」