愛ニ狂ッタ人
僕はそれからというもの、事あるごとに雪愛に話しかけるようにした。
雪愛と同じシャーペンも購入した。
何も言わず勝手に買いに行ったから、メイドたちが騒いでいたけど。
僕の耳には一切入らなかった。
僕はギャアギャア騒ぐメイドたちの話を聞かずに、雪愛とお揃いのシャーペンを部屋で眺め続けた。
雪愛が持っていたのは、男女関係なく持てる、水色のシンプルなシャーペン。
だから僕が持っていても何も不思議に思われなかった。
僕は雪愛に話しかける度、雪愛の荷物を見た。
そして自分の目にしっかり焼きつけ、それを探し求めてスーパーを歩いた。
見つからなかったものは家でパソコンを起動させ、ネットで探した。
ネットは危険な面も持ち合わせているが、防犯に気を使えば便利なもので、簡単に雪愛の持っている文房具を探し当てた。
それを好きな小説と共に配達してもらう。
文房具は―――中には危険な物もあるけど―――未成年でも軽々と購入出来るから。
不審がられることも全くなかった。
雪愛は次第に僕と話すようになってきた。
雪愛のことをちゃんと見守るようにしているから、僕のことが好きな迷惑極まりない女子に何かされる、ということはないみたいだ。
雪愛。
愛している、雪愛。
何かあったら、僕にすぐに言って?
僕が必ず…
―――守ってあげるカラ……。