愛ニ狂ッタ人
「そりゃあ、大変ですよ」
「若王子さんが社長になってから、犯罪を犯してしまった人たちのその後の支援も行っているとか。
自ら仕事を増やして…本当、お若いのに素晴らしい」
僕は、何も言わずに笑った。
…贖罪、とでも言うのだろうか?
犯罪を犯して罰を受けている人たちを見ていると、思うんだ。
僕も、前社長であるお母様の力がなければ、ココに入っていたのだろう、と。
他人事だと思えないんだ。
罪を犯した人たちが。
だから、少しでも力になりたかった。
「どうしてそこまで、色々な方のために頑張れるのですか?」
「…どうして、ですか…」
一瞬思案するように口元に手を当てたが、すぐにふっと笑った。
…答えなんて、とっくの昔から決まっている。
「…大事な、妻がいますから…」
そう、妻。
彼女がいるから、僕は頑張れるんだ。