愛ニ狂ッタ人







僕と彼女の娘、雪魅は中学生。

年齢からもわかるだろうけど、僕と彼女の本当の娘じゃない。




雪魅は、雪降る寒い中、道端に倒れているのを、僕と彼女が見つけて、警察へ送り届けた。

その後、警察から、雪魅のことを聞いた。




雪魅は、両親からの酷い虐待の末、捨てられたそうだ。

行く宛てもなく寒い中を歩いていた雪魅は、とうとう倒れてしまった。




両親は雪魅への虐待で逮捕され、行く場所が本当になくなってしまった。

本来は施設へ送るべきなんだけど、雪魅は何故か、僕と彼女の養子になることを言って来たのだ。

雪魅を放っておくことなんて出来なかったから、僕らは話し合いの末、雪魅を娘として迎えることにした。

雪魅は名前がなかったから、彼女と僕の名前をとって、雪魅と名付けた。

今ではすっかり僕らに慣れ、本当の家族のようだった。





「お帰りなさい、キミ」

「ただいま、雪愛」




今でも恥ずかしくって、彼女と呼んでいるけど。

ちゃんと式も挙げたし、婚姻届も出した、僕の立派な奥さんだ。



今雪愛は、若王子家当主である僕を支えるための秘書の資格を取るために勉強している。

いずれは僕の右腕となり、一緒に仕事をするつもりだ。

これで一生、雪愛は僕の傍を離れない。





「今日は、雪魅と一緒にお夕飯作ったんだよ」

「そうなのか?雪魅」

「うん!
お母様のことも手伝ってあげたかったし、何よりお父様の喜ぶ顔が見たかったから!」




学生時代は僕に近づくのは男女関係なく許さなかった雪愛だけど。

やっぱり娘である雪魅だけは別で。




僕らは立派な、

家族だった。









< 222 / 234 >

この作品をシェア

pagetop