愛ニ狂ッタ人
「そういえばお父様、かっこよかったよ!」
雪愛と雪魅の作った夕食を食べながら、僕は雪魅へ笑顔を向けた。
「ありがとう雪魅」
「やっぱりお父様が1番だな!」
可愛いな、やっぱり。
血は繋がっていないはずだけど、雪愛に似ているその顔立ちも笑顔も。
「え?
でも雪魅、好きな男の子いるって言っていたじゃないの」
「ちょっ、お母様!
それはお父様に内緒って約束でしょ!?」
「雪魅、好きな男いるの?」
「で、でもあたしはお父様が1番好きだよ!?」
「駄目よ、雪魅。
お父様は、私のものなんだから」
にこり、と雪愛が笑う。
雪魅もにっこり笑った。
「本当、お父様とお母様は仲良いわよね。
いつだって、好きだって言いあっているんだもの。
あたしも彼と、そんな関係になりたな!」
僕は雪魅のことも愛しているけど、やっぱり雪魅には雪魅の好きな人を見つけてほしい。
決して、若王子家に似合うような男を好きになれ、とは言わない。
どんな男でも、雪魅が好きになるなら、僕も雪愛も認めるつもりだ。