愛ニ狂ッタ人
「雪魅。
好きな人は、どんな人なんだい?」
「あのね、お父様みたいにかっこいいの。
性格も良くて優しいし、成績も優秀で、スポーツも得意なの。
皆からの信頼も厚くて、お伽話に出てくる王子様って感じよ!」
「そんな完璧な人がいるのか?」と苦笑交じりに聞いてみると。
雪愛がクスクス笑っていた。
「本当、お父様にそっくりね。
キミも、成績は優秀だしお金持ちだしイケメンだし優しいし。
名字関係なく、王子って呼ばれていたのよ」
「そうなの?お父様。
彼はお父様にそっくりだわ!」
「そう言う雪魅は雪愛に似ているね。
その笑顔、可愛いよ」
「…ねぇお母様。
お父様って天然でこういう発言するわよね。
お母様、心臓もつ?」
「ウフフ、たまにもたないわ」
2人してクスクス、楽しそうに笑い合う奥さんと娘。
僕は首を傾げながら、ビーフシチューを食べた。
しかし、雪魅に好きな人、か。
どんな奴だか知らないけど。
…僕の大事な娘と、妻を傷つけたら。
許さないカラ……。