愛ニ狂ッタ人
真終章 娘side
「おやすみなさーい」
あたしはお父様とお母様に挨拶をして、自分の部屋に入った。
広すぎる部屋に似合う、広いベッドに腰掛け、あたしは近くに置いてあった学生鞄を膝の上に置いて、中に入っている小さなファイルを取り出した。
あたし、若王子雪魅。
この家の養子。
幼い時から愛を知らなかったあたしは、遂に親に捨てられた。
そこで出会って、今まで色々世話をしてくれているのが、今の両親。
最初は施設にでも行こうと考えていた。
だけど、両親に明るい場所で初めて見た時、確信した。
あたしを絶対に幸せにしてくれる両親だ、と。
あたしを一時だけど保護した警察の人も言っていた。
あたしが、両親に似ていると。
娘として振る舞っても可笑しくない、と。
あたしは子どものいない両親に、娘にしてほしいと頼んだ。
断られるかと思っていたけど、すんなり手続きをしてくれた。
お父様もお母様も、家族に対して良い思い出がないみたいで。
自分たちと同じく親のいないあたしを、沢山可愛がってくれる。
お父様のお母様…あたしから見れば祖母に当たる人物には会ったけど。
お父様のお父様…祖父には会ったことがない。
同時に、お母様の両親には会ったことない。
それだけで、確信した。
お父様とお母様が、“普通”とは違う家庭に育ったのだ、と。
詳しいことは聞いたことないけど、きっとそうだと確信した。